インスタンス 【instance】
インスタンスとは、事実、事例、例、場合などの意味を持つ英単語。ソフトウェアの分野では、あらかじめ定義されたコンピュータプログラムやデータ構造などを、メインメモリ上に展開して処理・実行できる状態にしたものを指す。この意味では「実体」と訳されることもある。
特に、オブジェクト指向プログラミングで、クラス定義に基いてメモリ上にデータと手続きの集合として実体化されたオブジェクトのことをインスタンスという。クラスからインスタンスを生成することを「インスタンス化」(instantiation)という。
クラスは一種の雛形であり、同じクラスから作られたインスタンスは同じ変数(プロパティ)と手続き(メソッド)を持つが、各プロパティに代入されるデータ(値)はそれぞれのインスタンスごとに固有となる(インスタンス変数の場合)。あるインスタンスのプロパティの内容を書き換えても、同じクラスの他のインスタンスの同名プロパティは影響を受けない。
VMインスタンス
コンピュータ仮想化の分野では、物理的な一台のコンピュータ上で、ソフトウェアとして実装された仮想的なコンピュータを起動したものを「VMインスタンス」「仮想化インスタンス」と呼び、これを略して単にインスタンスということがある。
利用者やオペレーティングシステム(OS)のソフトウェアから見るとあたかも一台のコンピュータが稼動しているかのように振る舞い、実際のコンピュータと同じようにその上でソフトウェアを起動することができる。
VMインスタンスの実体はコンピュータのメモリ上に展開されたプログラムとデータの集合であるため、物理コンピュータそのものとは異なり、稼働状態のまま通信ネットワークを通じて他の物理コンピュータに転送し、移動先で同じように稼働を続行することができる。