USB 【Universal Serial Bus】 ユニバーサルシリアルバス
シリアル伝送方式を採用したバス型(信号線共有型)の接続規格で、一つの伝送路を最大127台の機器で共有することができる。コンピュータ側には通常1〜4つ程度のポート(差込口)が用意されており、これで足りない場合はUSBハブと呼ばれる集線装置を介してポートを増やすことができる。コネクタのホットプラグに対応しており、コンピュータ本体の電源を落とさずに周辺機器の着脱ができるようになっている。
初期の規格(USB 1.1)では12Mbps(メガビット毎秒)、最新の規格(USB 3.2)では20Gbps(ギガビット毎秒)までの通信速度に対応する。当初はキーボードなどの入出力装置から普及が始まったが、通信速度が向上するに連れてネットワークアダプタ(EthernetアダプタやWi-Fiアダプタ)や、外部接続の光学ドライブ、ハードディスクなどに利用が広がっていった。手軽なデータの受け渡し手段としてフラッシュメモリを内蔵したUSBメモリもよく使われる。
コネクタ形状

コンピュータ側を想定した大きなコネクタ形状と、周辺機器側を想定した小さなコネクタ形状が規定されている。当初はコンピュータ側は長方形のUSB Type-A、プリンタなどケーブルが別になっている周辺機器では正方形に近いUSB Type-Bが用いられた。
USB 2.0ではデジタルカメラなど小型の機器向けに小さな台形に近い形状のUSB Mini-A、Mini-B、Mini-ABの3種類が規定された。Aはコンピュータ側、Bは携帯機器側、ABは携帯機器同士の接続(USB On-The-Go)用だったが、B以外は廃止になり、Type-AとMini-Bを両端に持つケーブルが一般的となった。また、Miniよりもさらに小型化されたUSB Mirco-A、Micro-Bも規定され、スマートフォンやタブレット端末などでよく利用されている。
USB 3.0ではType-BとMicro-Bの形状が変更になり、従来と互換性のない形になった。新たな小型のコネクタ仕様としてType-Cが規定され、これまでのすべてのコネクタを置き換える新世代の標準として普及が進められている。
給電機能

USBにはデータ通信だけでなくケーブルの金属線を利用した送電についての仕様も定めており、装置が必要とする電力の供給や蓄電池への充電などに用いられている。
初期の規格から存在する「USBバスパワー」では、電圧5V、電流500mA、電力2.5Wまでの電力供給が可能で、キーボードなどの大きな電力を必要としない装置の駆動に用いられる。プリンタやハードディスクなど消費電力の大きな機器には足りないため、電源ケーブルで別途給電する必要がある。スマートフォンなど小型の機器や携帯機器ではUSBバスパワーが標準の充電方式になっていることも多い。
USB 3.1では従来より大電力の「USBパワーデリバリー」(USB PD:Power Delivery)が導入され、100Wまでの電力供給が可能となり液晶ディスプレイやコンピュータ本体などの電源ケーブルを代用できるほか、給電方向の切り替えなどにも対応している。
USBメモリ (USB stick)

指先程度の大きさにフラッシュメモリを内蔵し、端にUSBコネクタのついたストレージ装置をUSBメモリと呼ぶ。本来は不正確だが日常的にはこれを指してUSBと略す人もいる。
データを記憶メディアに書き込んで持ち運んだり人に渡したりする際に、以前はフロッピーディスク(FD)がよく用いられた。FDが時代遅れになり廃れたあとも同様の使い勝手の装置はなかなか普及しなかったが、2000年代中頃以降はUSBメモリが手軽に使える可搬メディアとして浸透している。
USBデバイスクラス (USB device class)

USBでは機器の種類ごとに標準の動作仕様と対応するドライバ仕様を「USBデバイスクラス」として規定しており、この範囲内の動作についてはOSなどに付属する汎用ドライバだけで利用することができる。USBメモリを別のコンピュータに挿してすぐにデータが移せるのもこの仕組みを利用している。
以前の接続規格では個別の製品ごとに必ず製造元が提供するドライバソフトを導入しなければ通信できなかったが、デバイスクラスで規定された一般的な機能は個別のドライバ不要で動作する。機器に固有の機能を利用したい場合などには、これまで通り付属のドライバを導入して利用する形となる。
主なデバイスクラスとして、キーボードやマウスなどを表す「USB Human Interface Device Class」(USB HID)、デジタルカメラ(内のストレージ)やメモリーカード、USBメモリなどを表す「USB Mass Storage Class」(USB MSC)、スピーカーやマイクなどを表す「USB Audio Class」、イメージスキャナなどを表す「USB Image Class」、プリンタを表す「USB Printer Clss」などが用意されている。
USB 1.0/USB 1.1
最も初期に策定されたUSB規格で、最初に広く普及した仕様。USB 1.0は1996年に、USB 1.1は1998年に策定された。両者の仕様はほぼ同一だが、1.0で曖昧だった仕様の一部が1.1で明確化されている。ほとんどすべてのUSB機器はこのバージョンによる動作が可能となっている。
データ伝送仕様として最高1.5Mbps(メガビット毎秒)のLSモード(Low Speed mode)と、最高12MbpsのFSモード(Full Speed mode)の2つを定義している。LSモードは制御情報の伝送など低速でも構わない機器(マウスやキーボードなど)向けに、FSモードはまとまった量のデータ伝送を行う機器(プリンタやイメージスキャナ、各種ストレージ装置など)向けに策定された。